1月26日、NHKラジオ第1「ゆる~り信州」に出演して、長野県の映画館についてお話させていただきました。以下、その内容をお伝えいたします。

 善光寺の門前町として発展してきた長野の町ですが、明治の初めになると、善光寺の周辺には芝居小屋ができてきました。それが今の長野市の映画館の起こりです。私は、10年程前から映画館の調査もしています。

 2016年1月現在、長野県には、常時映画を上映している映画館(シネコンを含む)は9つの市と村に、計13か所あります。高知県のように、県庁所在地の高知市にしか映画館がなくなってしまったという県もありますので、とても多い方です。(長野県より面積の広い福島県でも、今は3つの市にしか映画館はありません)

 映画館が長野県では最も多かったのが昭和37年(1962)です。なんと、125館もありました。北は信濃町や木島平村、南は、根羽村や南木曽町といった町村にも映画館があったのです。

 その中でも、昭和30年代の映画の全盛期から現在に至るまで同じ名前が続いている歴史ある映画館を南から紹介しましょう。


●飯田市にある「トキワ劇場」。今の建物は、昭和40年代に建て直されています。

●伊那市にある「旭座 1」。明治時代に芝居小屋として始まって、今の建物も大正時代に建てられた建物。既に100年が経っています。

●茅野市にある「新星劇場」。現在は、定期上映はしていません。

●岡谷市にある「スカラ座」。現在は、7つのスクリーンのあるシネコンになっています。

●塩尻市にある「東(あずま)座」。今の建物は、昭和50年代に建て直されています。

●松本市にある「ピカデリーホール」。現在は、定期上映はしていません。

●上田市にある「上田映劇」。現在は、定期上映はしていませんが、大正6年(1917)に建てられた歴史ある映画館です。

●長野市の長野駅前にある「千石劇場」。私が調べたところ、昭和25年に、長野県内では一番最初に鉄筋コンクリートで建設された映画館です。

●長野市の権堂にある「相生座」。明治25年(1892)に千歳座という芝居小屋として始まり、明治30年に、日本に初めて映画(活動写真)が入って来た時から上映しています。私は、現在定期上映している日本の映画館の中で、最古ではないかと考えています。


 信州は各地に「まちの映画館」が今もいくつも残る場所です。地元の映画館で映画が見られるのを、とても大事な文化として残していきたいものです。

(小林竜太郎)

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