今年(2017年)も間もなく終わろうとしています。
今年は、権堂の映画館「相生座・長野ロキシー」がたくさんメディアで紹介されました。というのも、運営会社の長野映画興業株式会社が12月25日で創立満100年を迎える記念すべき年で、それを記念する企画が多数行われたからです。
また、今年は日本で映画の興行が始まって120周年でもあります。相生座でも120年前(1897年=明治30年7月8日)に映画(当時の呼び方では活動写真)が初めて公開されました。120年前の当時は、千歳座という名称でした。
私はそれを記念して7月に『長野のまちと映画館 120年とその未来』を出版し、善光寺の門前町として発展した長野のまちの映画館の120年を紹介しました。
120年同じ建物で映画上映が続いてきたのも、全国的に見て、他に例が見られない奇跡のような出来事です。しかし、ただ歴史が古いだけでなく、そこが現役の、市民にとって今も大事な映画館であることが尊いことです。
12月25日、会社創立満100周年となる日には、相生座で97年前に上映された『チャップリンのスケート』と、95年前に上映された『東への道』(いずれもアメリカ映画)を、澤登翠さんの活弁によって上映する催しが行われます。相生座だからこそできる、素晴らしい企画です。
一方、映画は世界とつながる文化であるとともに、地域の文化も発信できる文化です。
今年、嬉しかったのは、地元制作のドキュメンタリー映画『原田要 平和への祈り 元ゼロ戦パイロットの100年』(宮尾哲雄監督)が相生座・ロキシーで、ヒットしたことです。
地元の人が、地元の伝統ある映画館で、地元制作の、地元の人や歴史を振り返る題材の映画を観ることができた・・・。なんて、幸せなことなのでしょうか!
映画は全国的に評価されるかどうかを基準に考えてしまいますが、本当に大事なことは、このまちが、まち独自の文化を持って機能することだと、私は考えています。長野は、そういう文化力を持ったまちです。
120年と100年のその先に、何を引き継ぐのか・・・。相生座は、まだまだ続きます。でも、もしかしたら、将来いつの日か、老朽化した建物はなくなっても、引き継げる文化を私たちは考えていかなくてはいけないと思うのです。