「男はつらいよ」で、さくらが帝釈天の前を通り過ぎるたびに
そっと手を合わせる姿に美しさを感じ、
僕は散歩に出るたび、善光寺さんの前では手を合わせ、
そこかしこにある神社や祠では拍手を打っています。
それを娘の多笑は見ているらしく、
1歳10ヶ月にして「お参り」という言葉を覚え、
僕ら夫婦を真似て手を合わせるようになりました。
先日は西宮神社へ家族でお参り。
多笑もきちんと拍手を打っていました。
しかし。
当然ながら、お参りの意味を理解しているわけではなく、
冷蔵庫やタンス、洗面台など、扉や引き出しがある家財道具の前で、
まず「かね、かね」と僕らにお賽銭を要求し、
「ちゃりーん」と言いながら扉や引き出しの隙間に
小銭を入れるふりをしてから拍手を打ち(どちらかというと神道のようです)、
「おまいり、した」とニコニコします。
時には同じ家財道具が自動販売機になり、
「ちゃりーん、ぽちん、がたたん。ごくごくごく、ぷはー」とか言ったりします。
お参りの意味を理解するまでにはもう少しかかりそうです。
(夫記)
11月に入り、我が家の冬支度がようやく整いました。
今年の冬は新生児を迎えるので、いろいろと気を使います。
1階には、台所と居間兼用のガスストーブを設置。
暖房効率を上げるため、玄関と居間を仕切る障子を立てました。
2階は、夜間の授乳に備えてオイルヒーターを設置。
こちらも効きを良くするため、襖を立てて寝室部分を狭めました。
こう書くと実に呆気ないものですが、
建具をはめるのに、かなりの手間を要したのです。
入居した当初、建具はほとんど外された状態。
襖と障子それぞれ10枚ずつほどが
家のあちこちに積んだり立てかけたりしてあって、
それらが本来どこに収まるべきものなのか、皆目見当がつきません。
もともと古いうえ、長らく使われなかったらしい建具はかなり汚れています。
ところどころ桟が折れたり、欠けてしまっているものもあります。
それらを水ぶきしたり、障子紙を張り替えたり、補修したり、
母の手を借りつつ、数日かけて作業を進めました。
古い障子紙はことにはがれにくく、桟にこびりついた糊はなかなか取れません。
「昔は障子ごと池に放り込んだりしてたよ」という母の話を聞き、
なんて効率的、と感心しました。
和紙はもともと自然素材、糊は粉を練ったものなので、
溶けても池の水に障りはありません。
また、障子紙は下から上へ張るものだということも知りました。
「紙の継ぎ目に埃がかぶるのを防ぐため」という話にも、なるほどなあと納得。
そして、きれいになった建具を本来の場所に収めるため、
試行錯誤を繰り返しました。
微妙に異なる横幅から組み合わせを見つけ、あちこち寸法を計り、
ようやくすべての収まりどころがわかりました。
さて、建具がはまった当初はやや圧迫感を感じましたが、
慣れると、囲われた感じに心が落ち着きます。
そして何よりあったかい。
紙1枚で隔てるだけで、こうも違うか、と驚いています。
玄関を開けるとすぐに居間、という間取り。
広々してて開放的ですが、窓や玄関から暮らしの様子が素通しです。
障子を立てたらこうなりました。
細かい桟の規則性が清々しい印象です。
これは台所と居間を隔てる建具。
「簾戸(すど)」ともちょっと違う、「夏障子」というらしいです。
こちらも寒さに備えて障子をはめました。
台所側から見るとこんな感じ。
壁であり戸であり、取り外しも可能。
建具って、ほんとによくできた代物です。
(妻記)
「今うちの家計に余裕はないぞ」と自分に言い聞かせつつも、
直に見て触れると、やっぱり魅せられてしまいます。
わが家にも、ギャッベが一枚あります。
大人ひとりが大の字に寝転べる程度の小さなものです。
買ったのは3年前。
当時、私は出版社に勤め、編集の仕事に携わっていました。
松葉屋さんで初めて開催するギャッベ展のお知らせを
「日和」に掲載するための写真をお借りしつつ、
その頃まだ耳慣れなかった「ギャッベ」についてうかがいました。
なかでも印象に残った佳子さん(松葉屋の奥さん)の話。
「欲しい家具や道具をそれなりに手に入れてきて、
もう満足したかなあと思っていた時に、ギャッベに出会ってしまったの。
今は、あったかい暖炉の前にギャッベを敷いて、
寝転んだり本を読んだり、そんなことができる小屋でもあれば十分」
でも、それって究極の贅沢かも、と笑い合いながら、
その情景は私の心に焼きつきました。
仕事に追われ、平日と休日の境も、時には昼夜の区別すら曖昧。
実家暮らしの自室へは寝に帰るだけ、という私の日常からは
かけ離れた夢のような暮らしのあり方。
ギャッベを手に入れることで、
そんな夢のような日々を、少しでも手繰り寄せたかったのかもしれません。
やがて18回ローンを払い終わる前に、娘を身ごもりました。
この古びた門前の家に、ギャッベはとてもしっくりと馴染んでいます。
そして、その上では、娘が毎日おもちゃを広げて遊び、
酔っ払った夫が眠りこけていることもあります。
(妻記)
家族で散歩の途中、
わが家の大家さんである「モンマートとみや」さんの向かいで子猫を見つけました。
いつものとおり匍匐(ほふく)前進で、車の下に逃げ込んだ猫にじりじり近づいていたら、
大家さん夫妻が出てきました。
「人が倒れている!」
そう思ったそうです。
門前近辺でうつ伏せに倒れている人を見つけたら、
まず冷静にその人がカメラを構えているかを確認してください。
構えていなかったら119番、構えていたらその人の視線の先には猫がいるはずです。
そっと見守ってやってください。
今日はやたら猫に遭遇する一日でしたが、
その全てが自動車の下に逃げ込んでしまい、ろくな写真が撮れませんでした。
駄作ばかりですが、苦労して潜り込んで撮影したので一応アップします。
車の下の猫、三部作です。
(おまけ。娘の髪を切りました。いつまで父親に切らせてくれるのかな)
(夫記)
以前のブログでもちょこっと触れましたが、
2階にベランダがなく、庭もないわが家では
(正確に言うと、家の北側に陽の当たらない坪庭がある)、
家の西側にある幅1.4メートルほどの敷地に
物干し台を置いて洗濯物を干していました。
勝手口から出入りできるものの、結構な段差があり、
屋根がないので、少しの降りでもすぐに雨が当たり、
地面がぬかるんでしまうので、日々不便を感じていました。
また、愛煙家の夫はここで煙草を吸うので(家の中はもちろん禁煙)、
気の毒でもありました。
よし、ここにウッドデッキを設けよう。
そう決めて、早速大家さんの許可を取りつけ、
MY ROOMの倉石さんに相談しました。
借家にお金をかけるのはもったいない...というご意見もあるかと思いますが、
古い家に住むと決めた時点で、こうした出費は想定していたし、
そもそも私も夫も、この家での暮らしを気に入っていて、
日々の生活を、より快適に、より大切にしたいという思いを
強くしていたのです。
そして先日、念願のウッドデッキが完成しました!
工事を担当してくれた、倉石商会の名大工トクさんこと徳武さんの手により、
わが家の西側スペースは一変しました!
ここに夏はプールを置いて、子どもたちを遊ばせたいな。
まずはベンチを置いて、夫に残り僅かの喫煙生活を楽しんでもらいたいです。
(妻記)