本日26日、ガレリア表参道にて、金子晴雄さん(80歳)の
ART TALK2011「まちと時代を撮り続けて...」が開かれました。
金子さんは東町在住のフリーカメラマンであり、かつ出版社を主宰し、
長野という街を半世紀にわたり記録し続けてきた方です。
今日、公開してくださったのは昭和30年代の8mmフィルム。
現・トイーゴは、前身のそごうのそのまた前身の「まるみつ」なる百貨店、
しかも映像の中のそれはまだ建設途中。
「新田町の交差点の幅は今とあまり変わらないような気がする」とか
「まるみつの屋上に行くのが楽しみだった」とか、
映し出される風景が変わるたびに感嘆の声が上がりました。
僕は写真を撮ることが好きなのですが、
きっかけとなったのは、大学浪人時代に見た「SMOKE」という映画でした。
主人公のタバコ屋の店主は、毎日欠かさず同じ場所の写真を撮り続けていて、
そこには、たとえ構図が陳腐であれ、ピントが甘かれ、
毎日連続して残された風景の変遷という記録があって、
僕はそこにもの凄く大きな価値があるのではないかと思ったわけです。
極端なことを言えば、どれだけ陳腐な写真であれ、
500年も経てば貴重なものになるわけで、
僕は出来るだけ多くのことを記録したいなぁ、と思って
大学一年生の時に人生初めてのローンを組んでカメラを買ったわけです。
さて、門前には「街並み」という写真集を通して、
いわば「街の記録係」を担っている僕の憧れの人がいます。
僕の撮影技術はその記録係には到底かないませんし、
僕はその記録係の弟子に弟子入りを断られるような状況です。
ならば。
僕はこの街を動画で切り取る記録係になるべきかな、と
今日の8mmを見ていて思った次第です。
もし技術的に可能ならば、このサイトにその動画を蓄積していければ、
僕も80歳になった時に、こうした会を催して、
電気自動車しか知らない若者たちに、
「この頃はガソリンっていう石油を濾したものを燃料にしていてね」
とかいう話をできたりしたら素敵なことだな、と思いました。
なので、僕はカメラを静止画から動画へ持ち替えて、街へ出ようと思います。
(未だにビデオカメラを縦位置で構える癖が抜けない、夫記)
今、門前に僕の憧れのミュージシャンが滞在しています。
3年間、全国を巡る「風まかせツアー」を終え、
西長野の「松籟庵」で次作を制作・収録中の風博士です。
正直に言えば、善光寺花回廊で彼のライブを聞くまで
僕は風博士の名前を知りませんでした。
しかし、そのライブで受けたインパクトたるや、
僕が今まで体験した、一人の人間が音楽で与え得る感動の最大限を更新しました。
(複数人が音楽で与え得る感動は、また別のものだと僕は考えています)
実はライブを聞きに行く直前まで、喧々と夫婦喧嘩をしていたのですが、
ライブが終わった後は何でいがみ合っていたのか忘れてしまったほどです。
後で知ったことですが、歳こそ一つ違えど風博士と僕は大学の同期生。
しかし、発するオーラは、倍ほど年上ではないかと思える風格です。
2歳の娘・多笑は、一緒に花回廊のライブへ連れて行った後、
最新アルバムの一曲目「あなたのコーヒー」を繰り返しリクエストします。
「かじぇはかちぇのこーひーのうた、もーいっかい!」と。
アンパンマンとNHK教育以外で娘のリクエストは初めてです。
「あなたのコーヒー」は風博士がツアー中、
山陰地方でたまたま入った喫茶店のコーヒーがことのほかおいしかったとのことで、
その感動を曲にしたそうです。
四十数秒の短い曲です。
出来上がった曲が入ったCDを、モチーフになった喫茶店にエピソードを添えて送ったところ、
そのお店では、延々と何回も何回も、
その四十数秒の「あなたのコーヒー」がリピートされているそうです。
本人、苦笑いしながら曰く「次の曲も聴いてほしいんだけど」とのこと。
わが家はまさに今その状態で、娘のリクエストに応えて「あなたのコーヒー」が
ヘビーローテーションです。
CDも素敵ですが、ライブの方がもっと素敵だと思う僕は、
出来るだけ長く門前に滞在してほしいと思っています。
出来るだけ、生の声と演奏を聞いていたい。
そんなわけで、たらの芽やこごみなど、地元ならではの旬の山菜、
近くの親戚、知人が手塩にかけて育てている信州牛、
その他、ここならではの珠玉の食材が手に入ったら
皆さん、「松籟庵」にお裾分けに行きましょう。
こうした素敵な音楽を奏でるミュージシャンは地域の宝となり得ると僕は思います。
出来るだけ引き止めるべく、歓待しましょう。
今のところ2ヶ月の滞在予定だそうですが、
最低でも一年はいてほしい、長野の四季を感じて次作を完成させてほしい、
そう思っています。
(夫記)
ゴールデンウィーク。観光客で賑わう門前に、
地元常連客の予約がいっぱいで、観光客が入れない店がありました。
実を言うと、わが家も福島から遊びに来ていた両親を連れて行きたかったのですが、
予約でいっぱいで、断念。
すごいことだと思うんです。
観光地にあって、観光客が入れない店って。
店の名前は「こまつや」。西之門町にあるパスタ屋さんです。
僕はお店のツイッターをフォローしているのですが、
毎日午前中にランチメニューがつぶやかれます。
ある日のつぶやきより引用。
「本日のランチメニュー
A イタリア産ソーセージと久保田さんの有機水菜のトマトソース
B 魚介と大豆島産朝採りアスパラガスとからすみのペペロンチーノ」
毎日毎日「パスタ食いてー」と思わされます。
(現実は、社内で300円の宅配弁当...)
店主の廣政真也さんは僕と同じ34歳。山口県徳山市の出身です。
(厨房にて奥さんのあやさんと)
東京でプロのドラマーを目指していた頃、アルバイトで料理の世界に足を踏み入れ、
その後、現在の接客や経営などに繋がる深い部分は、
東京と大阪のD&Depertmentで学んだそうです。
奥さんのご実家である荒物店「小松屋」を改装した店舗は
白い壁のすがすがしさと木の温もりが印象的で、
僕はコルビュジェが建てる小さな家を連想します。
ワインにも地元産の有機野菜などを使った料理にも愛情が感じられますが、
何より大事にしているのは「雰囲気」とのこと。
料理とインテリアと接客とBGMと、すべての要素がバランスを保ちながら
お客さんをもてなしてくれます。
僕は散歩でよく店の前を通りかかりますが、
大きな窓の向こう側にはいつもお客さんの笑顔が見えます。
とてもおいしくて素敵なお店ですが、地元の方はご存知のとおり、
土日はふらりと立ち寄ることができませんので、
予約した上で来店することをおすすめします。
本当に予約でいっぱいになっちゃうんです。
「こまつや」電話026-235-4040
(ちなみに僕はコルビュジェの建物を見たことはありません)
(夫記)