日々、暮らしていると
門前には朗らかで大らかな人が多いという印象を受けます。
今日はそのうちの一人、「洗濯屋ケンちゃん」のご主人を紹介したいと思います。
店は湯福神社の向かいにあり、わが家と目と鼻の先です。
娘の多笑を連れて行くと、いつも
「かわいいねぇ、将来は女優さんだな」と褒めてくれ、
「悪い虫つかないように、首にナフタリンぶら下げておかなきゃ」
などとクリーニング店主ならではのジョークを飛ばしたりします。
さて、このご主人、実はもう一つの顔があり、
「湯福絃一(けんいち)」という名前でレコードも出している歌手なのです。
各所から公演依頼を受けて、年間50回はコンサートを開いているそうです。
昨日のお祭りでも歌謡ショーを繰り広げました。
芸名の「湯福」は当然、湯福神社からとったのですが、
これは、全16カ町の氏子代表が集まって、「湯福」の名を与えてよいかを会議したという、
いわば、神社公認の芸名なのです。
店名が「ケンちゃん」だから、
僕は当然、字は違えど「けんいち」は本名だと思っていました。
しかし、今日聞いたら、本名は石坂治徳さんだといいます。
「え?じゃあ、洗濯屋ケンちゃんの店名は何からとったんですか?」
「いやぁ、僕らの世代にはすごく有名な裏ビデオの名作があってね」
「裏ビデオってアダルトビデオですか?」
「そう。そこからとったの。洗濯屋ならケンちゃんだって」
「ご家族は反対しなかったんですか?」
「反対したよ、でも決めてたから」
やっぱり門前って大らかだなぁ。
(夫記)