娘との散歩を日課にしています。

門前に越してきてからは、その散歩がぐっと楽しくなりました。
何しろわが家から善光寺さんまで、徒歩1分足らずですから、
よほどの雨でない限り、ほぼ毎日、境内から仲見世、
あるいは城山公園へと足を向けています。

さすが長野県が誇る観光地、いつも多くの人でにぎわっています。

さて先日、いつものようにベビーカーを押して善光寺さんへ足を踏み入れました。
その日は気持ちのいい秋晴れで、平日にも関わらず、
境内はいつにも増して多くの人で賑わっていました。

お宮参りに訪れた生後間もない赤ちゃんとその家族、
七五三を祝う子どもとその家族、
写生に訪れたらしい小学生の一群、
娘と同じ年頃の子どもを引き連れた保育士さんたち、
車椅子を押されるお年寄りのグループ、
法事に訪れたらしい黒づくめの人々。

そこへ紋付袴の花婿さんに手を引かれた、
白無垢に角隠しの花嫁さんが現れました。

境内は歓声に包まれ、「おめでとう」の声と拍手の音が湧き上がります。

観光客や犬の散歩途中の人、
晴れ着姿の人、喪服を着た人、
みんなが笑顔で見守ります。

その真ん中で、花婿さんと花嫁さんはうれしそうに、恥ずかしそうに、微笑んでいました。

その光景を前に、私は胸がいっぱいになってしまいました。

人生のハレとケ、人々の慶弔、すべてをまるごと包み込む、
善光寺さんという場所を象徴するようなできごとでした。

(妻記)

 

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藤屋旅館がTHE FUJIYA GOHONJINとなってから、
善光寺さんで花嫁さんの姿をよく見かけるようになりました。

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