長野・門前暮らしのすすめ

門前暮らし日記

節分スパルタ

僕の父親は、よく言えば大らか、悪く言えばテキトーな人です。
息子に対して「勉強しろ」などと一度も言ったことはない放任主義でしたし、
また、各種イベントや年中行事には積極的ではありませんでした。

しかし、なぜか節分に関しては、異常なまでにストイックでした。

家中の窓という窓を開け、その全てへ向けて僕に豆を投げさせ、
「鬼は外、福は内」の声が小さいと、
「もっと大きな声で!」と怒るのです。

小学校高学年にもなると、隣家に聞こえるのが嫌で、
どうしても小さな声になるのですが、許されません。

そして、きちんと歳の数だけ豆を食べます。
父親は40歳を超えても、几帳面に数えては食べていました。

幼い頃、鬼に何かされたトラウマでもあるのではないかと思えるほど、
節分はわが家の重要行事でした。

さて、
一家の長となった僕も、節分にはそれなりの覚悟を持って挑むべし、と思っていたのですが、
仕事を終え帰宅したところ、妻いわく「豆まきは済んだよ」とのこと。

聞くところによると、
クマのぬいぐるみに鬼の面をつけて、申し訳程度に豆をぶつけたそうです。
しかも豆は落花生。
長野では主流だそうですが、殻つきの落花生で鬼が逃げるとは思えません…。

うむむ。
節分スパルタを受けた僕としては思ってしまうのです。
妻よ、それでわが家に福は来るのか。

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(夫記)