長野・門前暮らしのすすめ

門前暮らし日記

043 知られざる仲町稲荷

 お稲荷さんをまつる神社で、全国的に2月の最初の午(うま)の日やその前後に、一年の商売繁盛などを願って行われる行事が「初午(はつうま)祭」です。しかし、どの神社でも行われるわけではなく、善光寺周辺では、淀ヶ橋の「樋下(ひのした)稲荷」など数か所のようです。
 今年はたまたま2月3日が、2月最初の午の日でした。節分と同じ日だったわけです。
 2月3日午前10時から西後町の「仲町(なかまち)稲荷」で、初午祭が行われ、お参りに行ってきました。場所は、朝日八十二ビルの北側です。仲町というのは、善光寺表参道(中央通り)の朝日八十二ビル北側から西に入って、犀北館に突き当たる道のことです。鳥居も標識もふだんはありませんので、気づく人もほとんどいない小さなお稲荷さんです。

 参列したのは、八十二銀行本店や、朝日八十二ビル内の八十二銀行長野支店やテナント、周辺商店などの方々です。もともと、この地には八十二銀行の本店があったことから、岡田町に本店が移転した現在でも八十二銀行では、このお稲荷さんを守り、信仰し続けています。
 
 このお稲荷さんは、江戸時代には、現在では東後町にあるかつおぶし屋「能登重」の屋敷神だったと伝えられています。しかし、私の先祖の屋敷神だったという説もあります。小林家は、江戸時代、西後町で商いをしていました。
 昔は個人のものだったお稲荷さんが、長野県を代表する企業によって守られているのは不思議です。そうなるまでには、このお稲荷さんを盛りたててきた、まちの人々の多大な努力があったはずです。かつては権堂の芸妓さんもお参りに立ち寄ったという話を地元の方から聞きました。
 でも、これまでのすべてを知っているのは、もう神様だけでしょう。
 お参りしたら、お種銭をいただきました。銀行の方からいただけるのは、何とも嬉しいですね。来年は、ぜひ皆様もお出かけください。