わが家になんとピアノが来ました。親戚の家で不要になったものをピカピカに磨き直し、調律し直してもらいました。すべては義母の計らいです。ありがとうございます。漆喰の壁に、黒いピアノはよく映えます。 村治香織のようになってほしいという父の願いも虚しく、娘はあまり楽器に興味を示しません。一方、息子は音の出るものが大好き。ピアノにも果敢に挑戦します。僕はスポーツスパルタの家で育ちました。決して豊かとはいえない家庭でしたが、ことスポーツに関しては厳しい代わりに寛容で、グローブが欲しいと言えば高級品を買ってもらえたし、履いているスニーカーはいつも有名メーカーのものでした。僕はスポーツを通して自分に自信を持つことができたし、人格形成に大きな影響があったと思っています。そのことでは親に感謝しています。しかし、家にはピアノやギターといった楽器はなく、音楽とはまったく無縁な幼少時代を過ごしました。今思えば、家にピアノがあれば、幼稚園に入る時に親から問われた「剣道とピアノ、どっちを習う?」という選択肢に対する答えも違っていたのではないかと思うのです(僕は剣道を選びました)。そして、その後の人生にも影響を及ぼしたかもしれません。僕は30代半ばになって、初めて自分で曲をつくりました。本当に拙い曲ですが、それでも喜んでくれる人がいました。僕は30代半ばになって、初めて自分の歌を全世界に発信しました(門前グダグダTVを通して)。音楽のプレーヤーって楽しいなぁと、この歳になって思うのです。残念ながらこの歳になって、です。僕は子どもたちに、ぜひとも音楽のプレーヤーになってほしいわけではないのです。親として、出来るだけ多くの選択肢を彼らの前に用意しておきたいと思うのです。そんなわけで、裏の山田さん、隣の鈴木さん。時折、拙いピアノの音が聞こえて来るかもしれませんが、ご容赦ください。直太朗が音楽家になる可能性はゼロではないのです。応援していただければ幸いです。(夫記)