僕は一時期、書店経営を夢見て、ヴィレッジバンガードや往来堂など、書店の棚づくりの成功例を紹介する本を読みあさっていました。今でも佐野眞一氏の「だれが本を殺すのか」はこれまで読んだ本の中で十指に入る名著だと思っています。その中でちょくちょく出て来た伝説の書店員が、長野の平安堂本店にいるということを知り、どうにか一度お会いしたいものだと強く思っていた時期があったのですが、諸般の事情により書店経営を諦めたこともあって、つい先ほどまで忘れていました。話は変わって、僕は大学院で経営学を学んだこともあって、部下の心を惹き付けるリーダーに強く興味を持っています。先日、あるイベントをきっかけに知り合った平安堂に勤める女性が、フェイスブックでことあるごとに先ごろ逝去された上司を悼む文章を綴っていました。「これだけ部下に慕われる上司とは、どんな人なんだろう」と興味が湧き、一度お話をお聞きしたいと思っていました。さて、この伝説の書店員と、知人の上司、もしかしたら同一人物なのではないかと僕の脳細胞同士が繋がったのは昨日のことです。僕はそれほど多読というわけではありませんが、書店にいる時間が好きです。お金と時間に余裕があった頃は「積ん読」が趣味でした。僕は福島、京都、郡山、長野、大阪、名古屋と移り住んできましたが、平安堂本店は信州が誇るべき名店だと思っています。そこには恐らく伝説の書店員が及ぼしたエッセンスが散りばめられているのでしょう。僕がお話を聞きたいと思っていた伝説の書店員と、彼女の上司は同一人物なのでしょうか。彼女に答えを聞く前に、何となくここに記したくなりました。多分、同一人物なのだろうと思って。(夫記)