長野・門前暮らしのすすめ

門前暮らし日記

096 北陸と善光寺門前(6)栽松院

 善光寺表参道の問御所町にある栽松院(さいしょういん)本堂入口に、「栽松院」と書かれた古い額がかかっています。
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 この額の字を書いたのは、江戸時代の後期、大乗寺(だいじょうじ)の住職だった、愚禅(ぐぜん)という方です。96歳の時に書かれたということですから、たいへん長命だったのですね。
 大乗寺は、金沢にある曹洞宗の名刹で、700年余の歴史があります。
 栽松院は、大乗寺の系統のお寺だったことから、愚禅和尚が額の字を書かれたのだと考えられます。
 額は、今の栽松院の本堂よりも古く、1847年に起こった善光寺地震よりさらに20年位前に書かれた貴重なものです。
 愚禅和尚は、武蔵国、今の埼玉県の生まれで、埼玉県のホームページでも埼玉ゆかりの偉人として紹介されています。
 武蔵国から金沢へは善光寺門前を通るのが最短ルートです。参勤交代の大名行列も通ったように、愚禅和尚も、武蔵国と金沢への行き来には、この善光寺の門前町、栽松院の前を通っていたのかもしれません。この町は、文化の行き交う場所でした。