2014年度末、新幹線が富山県を通り、石川県金沢まで延伸されます。将来は福井県にも延びる予定です。
善光寺周辺と北陸とのつながりを考えてみましょう。
善光寺は無宗派ですが、天台宗と浄土宗のお寺でお守りしています。また善光寺の門前周辺は、浄土宗の他、曹洞宗や浄土真宗のお寺が多くあります。北陸といえば、まさに浄土真宗や曹洞宗のお寺が多い地域です。
ここでは曹洞宗について見ていきましょう。
善光寺の近くには、新町の地蔵庵、田町の普済(ふさい)寺、権堂町の地蔵庵、問御所町の栽松(さいしょう)院、立町の耕雲(こううん)庵、横沢町の嶺雲(れいうん)庵、往生地の宗栄(そうえい)寺、三輪8丁目の大定(だいじょう)院や時丸(じがん)寺、妻科の善松(ぜんしょう)寺など、曹洞宗の寺はたくさんあります。どの宗派の寺より数が多いでしょう。江戸時代から先祖が善光寺の近くで暮らしてきたらしい我が家小林家も、曹洞宗の寺の檀家です。
曹洞宗の大本山は、福井県にある永平寺です。また、新設される新幹線の新高岡駅近くにある曹洞宗の寺、瑞龍(ずいりゅう)寺(富山県高岡市)は、仏殿・法堂・山門が国宝に指定されている名刹です。
曹洞宗の寺は全国に9つの管区に分かれていますが、福井、石川、富山、新潟、長野の各県は北信越管区に属します。その「北信越管区教化センター」というものが、実は長野市にあるのです。長野市吉田の永祥寺内にあります。長野市は、曹洞宗にとって、北陸を含めた地域の拠点になっているのです。以前には、尼僧を育てる学校もあり、善光寺周辺の庵主(あんじょ)さんの多くがそこで学んだそうです。
善光寺周辺で曹洞宗が普及したのも、ここが昔から北陸との結びつきが強かったからでしょう。
善光寺そのものは、浄土宗や天台宗の寺でお守りしているため、直接曹洞宗とは関係がありませんが、禅宗である曹洞宗も、門前町の文化として深く根付きました。長野県の学校で、掃除が大事にされていることなど、学校教育にも曹洞宗の影響が見られます。私の母校の小学校では、障害児学級は「三心(さんしん)」と呼ばれていました。三心は、曹洞宗の開祖道元禅師の教えです。
新幹線延伸を機に、北陸との歴史的な文化のつながりを思い起こし、北陸と交流を深めていくのも大事なことでしょう。