長野・門前暮らしのすすめ

門前暮らし日記

070 清水小路よ、いつまでも

 我が家は、問御所町の清水小路沿いにあります。
 
 清水小路は、トイーゴパーキングの南側を通る道で、現在では昭和通りの戸谷茶店脇から千歳町通りの中央薬局脇までを結ぶ通りになっていますが、かつては、善光寺表参道と直接つながっていました。江戸時代には、七瀬村と善光寺門前町を行き来する道として利用されてきました。
 周辺をビルに囲まれた現在の清水小路の途中で暮らしているのは、我が家を含め5世帯、約10人ほどでしかありませんが、とても気持ちのよい人たちが暮らしている、実にいい通りです。
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 我が家の2階の窓から見ると、いかにも新しい通りに見えてしまいますが、清水小路の途中にはまだ古いものが3つあります。庚申塔(こうしんとう)という石造文化財、山田種苗店の土蔵、そして水庫(みずくら)長屋と呼ばれ築100年以上経つ土蔵造りの我が家です。 
 今年の元旦は、生後2か月の我が子とともに、「初詣で」のつもりで、庚申塔に行きました。
 この庚申塔には、万延元年(1860)と刻まれています。この年は、東町の武井神社で御柱祭が盛大に行われた年です。当時この小路に暮らしていた人も、御柱祭に参加したことでしょう。庚申塔は、場所は移転していますが、それからもう150年も道行く人を見守り続けています。
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 庚申塔は、本来お参りするものではありませんが、清水小路の庚申塔はお地蔵様のような存在です。袋に入ったみかん、お餅、十円玉や五円玉、一円玉のお賽銭がお供えしてありました。
 それから数日経っても、誰もお賽銭に手をつけてはいませんでした。道行く人たちがちゃんと節度を保っている。何と素晴らしい文化でしょうか! 清水小路は都市の中にあって、昔のよき面影をこれからもずっと伝え続けてほしい道です。
参考:
「清水小路の続き」(長野郷土史研究会小林一郎のブログ)
「人々の生活が息づく小路」(小林玲子の善光寺表参道日記)
「善光寺表参道の小路めぐり(7)」(同)