先日ですが、伊勢町にお住まいの税理士、中島弘人さんが84歳でお亡くなりになりました。中島さんは長野郷土史研究会の長い会員でいらっしゃいました。
4、5年前になりますが、中島さんから、伊勢町の区史のようなものをつくりたいと考えているとご相談を受け、何度か伊勢町のお宅にうかがったことがあります。その時も、今のように暑い夏の時期でした。しかし、そのまま進展せずに時が過ぎてしまったことを心苦しく思っています。
伊勢町で育った中島さんからは、地元の言い伝えとして、生まれる前の昔(いつ頃までかわかりませんが)、東之門町の伊勢社に至る道が、現在の東側(以前に銭湯「鶴の湯」のあった脇)でなく、南側にもあったというお話を聞かせていただきました。
左上が伊勢社。伊勢町の通り(笠原十兵衛薬局付近)から、右の湯福川を橋で渡って、中央にある倉庫の付近を通って、伊勢社に登る道があったということです。
もっと私は、たくさんのことをお聞きしておくべきだったと思います。
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最近、受け継ぐということをよく考えます。
世代を超えて、地域を受け継ぐということ・・・。
受け継がれず、消えていってしまうものが、何と多いことでしょう。
若い人は、形式的に土地や建物を受け継ぐことはできます。
しかし、そこに世代を超えた何か(物であれ、記憶であれ、生活様式であれ)が伝わってこその門前ではないかと思うのです。
これは誰か特定の世代のせいにはしたくありません。
年長者の方は、若い人に伝える方法がわからなかったり、若い人はまだ年長者に関心がなかったり、まさか新しく来たばかりの自分が地域を受け継いでいく一員だとは感じなかったり、・・・そうした中で日々を過ごしています。
これから人口が減っていくとされる社会にあって、高齢者の数や子どもの数、働き手など人口の数値がよく問題になります。しかし、たとえ門前の人口が何人増えようが、受け継がれるものがなければ、そこは門前ではなくなってしまいます。逆に、人口が極端に減ったとしても、やはり、門前らしさを受け継ぐことはできるのではないかと思うのです。
上の世代と、新しい世代を上手につないでいくことが、ここ門前でできたらいいと考えています。そして、まだ新しく来たばかりと思っている人も、もっと新しく来た人やこれから来る人に何かを受け継いでいく当事者として活躍できる、風通しのよい門前にしたいと思います。