長野・門前暮らしのすすめ

門前暮らし日記

036 「あんじょ」さんのいる町

 2月5日、横沢町にある「嶺雲庵(れいうんあん)」の住職、長田要山
(おさだようざん)さんが亡くなられました。享年86歳でした。
 5月4日には、新町にある「地蔵庵」の住職、北條準芳(ほうじょう
じゅんぽう)さんが亡くなられました。享年78歳でした。
 いずれの尼寺からも、ご住職がいらっしゃらなくなりました。
 長野郷土史研究会でもお世話になってきた方々であり、とても残念な
思いがします。
 善光寺周辺では、江戸時代の昔から、女性の尼さんが守っているお寺が
いくつもあります。これは、他の地域にはない、この町の特徴です。
一般には庵主(あんじゅ)さんですが、この町では、「あんじょ」さんと
呼ばれ、親しまれています。各家庭をまわって、お経をあげて歩かれて
いますので、よく町でお見かけすることもあります。けれども近年、
その数は少なくなってきました。
 なぜ、善光寺のある町で、女性なのでしょうか。
 善光寺の住職である大本願のお上人さまが女性であり、
善光寺が女性に信仰を集める寺であることと関係がありそうです。
 また、近くの吉田に曹洞宗の尼さんを養成する学校があったこと
とも関係がありそうです。
 そして、「あんじょ」さんにお世話になってきた町の人たちの
信仰心も大事であったわけです。
 私の祖父母の家にも、かつて岩石町の梅林庵(ばいりんあん)
(今は、もうありません)の「あんじょ」さんが毎月いらっしゃって
いました。子どもの私にとって、髪を剃っている女性はとても存在感が
あって怖くて、なるべく会わないように逃げていたのを思い出します。
しっかりお会いしていなかったことが、とても残念です。