長野・門前暮らしのすすめ

門前暮らし日記

街並み歩き 011 お十夜〜新そば

ちょっと前のことになりますが、11月5日〜14日まで、善光寺で「お十夜」が行われていました。10月は大本願、11月は大勧進。この期間、夜に集い住職たちのありがたいお話を聞き参拝をするのが習わしです。かつてはたくさんの参拝客がつめかけたという「お十夜」をたくさんの人に楽しんでもらおうと「門前そばの会」のメンバーが企画したのが、新そばの奉納と新そばのふるまい。門前のそば屋さん13軒が集まってこの日のために準備をしてきました。1105soba01.jpgそばを打っているのは「たきや」の職人さん。「一本棒」でそば打ちができるということで抜擢されました。メンバーはみんなそば職人でもあるのですが「三本棒」という江戸前な打ち方をする人が多いらしいです。「三本棒」はせまいところでも大きく「のす」ことができる打ち方だけれど、「一本棒」の方が動きがあってかっこいい!ってことで決定したのだとか。まあほんとに素早くそばができあがってしまったわけですが職人さんにすれば、野外で、しかもこの寒さで打つ、というのはリスクが高くのしている間に乾燥してひびが入ったり、切れやすくなったりするみたい。それをみんなが見ている前でサクッとキメなくちゃいけない。でも、さすがです。見事にキメてました。1105soba02.jpg打ったそばと、新しいそば粉を善光寺本堂に奉納するところ。今回は珍しい?女性の「善光寺木遣り」が登場しました。「木遣り」は、善光寺造営のために木材を運んだ時に唄われたのが現在に伝わっているものと言われています。こういう神聖な儀式の時に、すごくいいなあと思いました。祈る時間を与えてくれるというか。木遣りを唄っている間、その歌声、強弱、節まわし、掛け声、その抑揚にあわせて、ただ心をあわせる。それだけでなんか、みんなで祈った〜って気になります。(単純?)本来は祈るためにものではないかもしれませんが。1105soba03.jpgそれと忘れちゃいけない!観光客だけでなく、地元のみなさんにもそばの美味しさを楽しんでほしいと門前そばの会が心を込めて振る舞った「新そば」。県内産の、収穫したばかりのそばを使って門前の職人が打つそばです。これをツルっと食べて勝手に思いました。そばは地元の人にも気軽に食べられるものになるべきです。これはもう、味とかの問題ではなく、精神的な問題として。ラーメンじゃなくてそばをツルッと食べる方がかっこいい、みたいな。ラーメン食べたい時もあるんだけどね。そんなことを思った夜でした。(あやこ記す)