前回は、「善光寺駅」が甲府市にあるということを紹介しました。
ところがかつて、長野市には「信濃善光寺」という駅がありました。
国鉄でも、長野電鉄でもない鉄道、「善光寺白馬電鉄」の駅でした。
善光寺白馬電鉄は、
略して「善白鉄道(ぜんぱくてつどう)」と呼ばれていた線で、
昭和11年(1936)、南長野駅から善光寺温泉駅までが開業しました。
善光寺温泉は、善光寺の西約5キロメートルの裾花川沿いにあった温泉です。
では、「信濃善光寺駅」はどこにあったのでしょう。
あった場所は、なんと新諏訪町でした。諏訪町ではありません。
場所は、今の長野商業高校や西部中学校よりも西側、
裾花台遊園地の付近にありました。
でもなぜ、市民にとって不思議な場所に「信濃善光寺」という駅が
できたのでしょう。
私が考える理由はこうです。
善光寺白馬電鉄は、その名の通り、善光寺のある長野市から
白馬を目指して建設されました。しかもその先、長野市と北陸とを
最短距離で結ぼうという夢もありました。
この信濃善光寺駅は、いずれ白馬や、さらには北陸地方の人たちに、
善光寺参りをするのに、善光寺に最も近い駅として利用してもらおう
としたのだと思います。
そうしたら、善光寺の西の入口、西長野や桜枝町あたりは、
もっと栄えていたのかもしれません。
「善白鉄道」は白馬に達することなく、わずか7年ほどで営業を休止し、
戦後廃止されました。
現在、駅の跡地は住宅地となって、その面影は残されていません。(小林)