世の中には不思議なことが起こるものです。夜が明けたらわが家にギターがありません。
これはどうしたことでしょう。昨夜、私は家でビール2本と日本酒2合を飲んだ後、1166バックパッカーズにギターを持って遊びに行きました。そこでオーストラリア人のギタリストと「ありがとう野菜−Thank you for vegetable」という曲をつくり、セッションしました。1166では杏露酒を一杯、焼酎をロックで2杯飲みました。帰りがけ、営業終了後の「こまつや」さんに寄り、「こまつやのテーマソング」についての打ち合わせをしようとしたら、廣政シェフに「テーマソング要りません」と断られました。そこまで、僕の手にはギターがありましたし、交わした会話もすべて覚えているのです。しかし、僕はその後、どこか別の世界へ迷い込んでしまったようです。人はそれを「トワイライトゾーン」と呼ぶそうです。「こまつや」からわが家は僅か数百メートル。しかし、途中、僕は道に迷いました。塀に吸い寄せられ、おでこをぶつけたのは覚えています。重力のバランスが突如崩れ、地面に叩き付けられたのも覚えています。ほうほうの体(てい)で自宅に辿り着いたのですが、そこで気付きました。手に持っていたはずのギターがありません。世の中には不思議なことが起こるものです。あんなに大きなものが神隠しにあうなんて。翌朝、交番へ行き、紛失届けを出しました。「裸のギターなくしたってのは初めてだなぁ」とベテランのおまわりさんが言いました。世の中には不思議なことが起こるものです。(在りし日のギターと私と娘)(夫記)