妻がいない休日。
ようやく二人の子供に昼ご飯を食べさせたものの、15時を過ぎても、上はパジャマ、下はパンツ一丁のわが愛娘。うどんを飲み物のように平らげ「もっとよこせ!」と泣きわめく大食漢の長男。げんなりしながら、二つ目のベビーフードを直太朗に食べさせていると、多笑が「アンパンマンキャラメルコーン食べたい」と小悪魔的笑顔ですり寄ってきます。これはチャンス!「ズボンはかない子はキャラメルコーン食べられないんだよ」と言うと、しばらく考えた末、「じゃあ、はく」と交渉開始から5時間半にしてようやく愛娘が文明人の仲間入りです。さて、次は上をどうにかしようと思ったのですが、あっさりとキャラメルコーンを食べ終えた多笑は、頑としてパジャマの上を着替えるのを拒みます。そして、とうとうやってしまいました。禁断の甘い果実をまだ年端も行かぬ娘の前にちらつかせたのです。「多笑ちゃん、とみやさんにゼリー買いに行こうか」「うん!」「でも、とみやさんはパジャマでは行けないんだよ。着替えよう」「わかった!」よし!と思ったのも束の間、多笑はパジャマの上からチュニックを着ようとするではありませんか。パジャマは大きめなので、なかなかうまく着られません。そもそも、門前のファッションリーダーとして、娘にそんなおかしな格好をさせたくありません。最初はアドバイス。「多笑ちゃん、パジャマの上からは着られないよ」「うまくきられないよー!」続いて提案。「多笑ちゃん、パジャマ先に脱いだら?」「おとうちゃん、あっちいって」最後は懇願。「多笑ちゃん、お願いだから先にパジャマ脱いで」頼み込むこと20分。「多笑ちゃん、ゼリーなくなっちゃうよ」「じゃあ、おとうちゃんてちゅだって」時計は16時を回ろうとしていました。6時間以上に及ぶ、ウォール街のやり手ビジネスマン相手よりタフな交渉はようやく終わったのです。禁断の甘い果実をせしめて満面の笑みを浮かべる多笑。負けた。でもね、僕もただ家の中で振り回されるだけではありませんよ。外から聞こえる笛や太鼓の音に反応した多笑と直太朗をきちんと御神輿のところまで連れて行くことで一矢報いました。トータルで見れば、子供達にとって楽しい一日だったんじゃないかな。さて、そろそろ妻が帰ってくる頃です。(夫記)