(重複する部分もあります) 「北信流講座 第1回レポート」 【タイトル】長野・門前暮らしのすすめ 北信流講座<第1回> 【実施日時】5月7日(金) 18:00〜19:00 【参加費】無料 参加者数:13名+スタッフ7名 【内容】西之門町区長 北澤良洋さんを講師に、古くから北信近郊に伝わる盃事「北信流(宝生流)」を学ぶ。 古くから北信に伝わる盃事「北信流」を門前に暮らす謡い手の方から学ぼうという『北信流講座』。第一回目は「鶴亀」(宝生流)を教材に、まずは「北信流」とはどのようなものなのか、全体の雰囲気を学びました。講師は西之門町区長、北澤良洋さん。 この「鶴亀」はお祝いの時に謡うものであり、約70余ある謡いのなかでは比較的単純だそうです。本来ならば一曲だけを取り出して教えるということはしないそうですが、今回は特別に教えていただけることになりました。 集まった参加者にはテキストと扇子(なかった方は割り箸)が配られました。その扇子を正座した膝の前に置くところから講習は始まります。 区長は昔、謡いが嫌いだったそうです。区長のお父さんが謡いの先生をしていらしたそうで、勉強をしている時であろうとお構いなしに謡いが響く生活…。それがうるさくて仕方なかったとのこと。では、そんな区長が謡いをはじめたきっかけとは?——大町市に嫁いだ親戚に結婚式で謡いをしてくれないかと頼まれ、恥ずかしいと思いながらも渋々謡ったところ、大好評! その反応が嬉しくて、お父さんに弟子入りし、謡いをはじめたそうです。 教本を見ながら区長のあとに続けて謡います。教本の文字横には声の強弱、伸ばす、テンポなどが記された謎の記号が並んでいます。さながら漢文のレ点、返り点のようで、なんだかめまいが…。 戸惑う私たちに区長は「記号が難しいところは耳で聴き覚えれば大丈夫」と励まして、どんどんと先に進みます。 謡いには「シテ」「ワキ」「地」などの分担があるとのこと。「シテ」「ワキ」はひとりずつ謡い、「地」の部分は皆で謡います。その「地」をまとめるのが「地頭」です。区長いわく、教本に書かれていることよりも地頭のタイミングに呼吸をあわせることの方が大事だとのこと。 突き進む区長の姿とそれらのお話しを聴くにつけ感じたことは、謡いというのは紙面で覚えるものではなく、耳で聴き覚えることによって受け継がれてきたものなんだなということ。口承で受け継がれてきたというところが伝統文化らしいと感じます。 また、合唱などと違い、明確な音程が定められている訳ではないのですが、皆で声を合わせると、そこには不思議と心地よいハーモニーがうまれていました。お経や能の響きに近いような…お腹の底にずーんと響いてくるハーモニーでした。 最後は皆で通して謡うことに。手探りでおぼつかないながらも、「鶴亀」の最後「めでたけれ〜」まで謡いおわると、なぜかスッキリした気持ちになりました。 次回は鶴亀の由来や内容(「めでたけれ〜」で最後を結んでいるし、区長からも祝いの時の謡いだと教わったのですが、どんな内容なのかさっぱりわからなかった…)なども教わりたいと思います。